女性の更年期障害の症状と治療

  更年期とは、一般に閉経前後の5年間、即ち、40才代中頃から50才代中頃までを指す。

                                  

     閉経前後に最初に注目されるのが更年期障害

     これは閉経前後の女性に認められる不定愁訴が

     本人及び周囲の人たちの日常生活にとって大きな支障になる場合をいう。

   閉経は卵巣機能の停止を意味し、即ち、卵巣から

     分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の分泌 

   が停止し、生活の質に大きな影響を与える。

                                                                                                        更年期の症状

頭痛 神経内科、脳外科、(MRIなど) 腰痛 整形外科、内科(X線検査、消化管検査)
めまい 耳鼻科、神経内科(平衡機能、MRなど) うつ気分 内科、神経科(血液検査、X線検査など)
動悸 内科、循環器科(心電図、ホルター心電図など) 発疹 皮膚科、内科(血液検査、アレルギー検査など)
胃が重い 内科、消化器科(胃カメラなど) トイレが近い 泌尿器科、内科(膀胱鏡検査、血清検査、尿検査)
疲れやすい 内科、神経内科(血液検査、X線検査など)    

                                  更年期障害は個々の不定愁訴の集合体である為、全身的なスクリーニングは必要であるが臓器別検査は必要ない。

                                 臓器別の対応がなされると、教科を掛け持ちすることも多く、原因治療が成されないため経過が長引くことも珍しくない。

                                 原因は@卵巣機能の低下・停止 A環境の問題 B精神的(気質的)な要因の3つが挙げられている

     簡略更年期指数(症状の客観的把握法)
症状の程度に応じ(どれか一つでも強く出れば、強とする)自分で点数をいれ合計点でチェック
症状 なし 点数
@顔がほてる 10 6 3 0

A汗をかきやすい 10 6 3 0
B脳や手足が冷えやすい 14 9 5 0

 

C息切れ、動悸がする 12 8 4 0
D寝付きが悪い、眠りが浅い 14 9 5 0

E怒りやすく、イライラする 12 8 4 0
Fくよくよしたり、憂うつになる 7 5 3 0
G頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0
H疲れやすい 7 4 2 0
I肩こり、頭痛、手足の痛みがある 7 5 3 0

                    合計点        
更年期指数の自己採点評価法 51〜65点:更年期、閉経外来を受診
0〜25点:異常なし 66〜80点:長期間の計画的な治療
25〜50点:食事、運動に注意 81〜100点:各科の精密検査、長期の計画的な対応

  特徴:a エストロゲンの低下をよく反映したもの  b 外来で気軽に実施できるもの  c 臨床で利用できるように、点数の変化と

  症状の変化がよく相関していること。

 @〜Cエストロゲン低下によく反応する項目・・・ホルモン補充療法(HRT)によく反応する

 D〜G精神や環境的要因が多く、エストロゲンも影響する・・・カウンセリングや生活指導が中心の治療となる。

 H〜I更年期のみでなく、各年代層によく現れる項目

 ▲更年期は人生の後半へのスタートであり、更年期障害のみならず骨粗しょう症、動脈硬化、認知症など、老年期に

  顕在化する疾患を予防することを始めるのに最適な時期である。40才前後に卵巣機能、骨量、総コレステロール等の

 測定は意味あることである。食事、運動などライフスタイルの改善による予防を主として対応することが賢明。

 ▲治療はわが国では薬物投与がよく行われているが原因を見極めてそれに対応すべきだがこれが不十分である。

  これまでの精神安定剤、漢方治療、気分転換で気持ちを明るく持ちましょうなど、どの治療も単独では十分でない。

  最初の数回の治療で原因を分析し、治療の組み合わせ、、治療方針を立てることが重要である。

  カウンセリングは重要だが現場では殆ど行われていない。漢方医学も症状の緩解に役立つが医師側の未習熟が問題。

  現在はホルモン補充法(HRT)が足りなくなったエストロゲンを補充するわけで明快で効果も安定している。が病因を

  問わず容易に投与される傾向があり、的外れの対応が見られる。現在もよく行われている対処療法の積み重ねは

  これからはぜひとも避けたい。医療費の無駄使いのみならず、患者自身の、身体的、時間的損失が大きい。

 ▲最近、30才代の女性に更年期様症状が増えている、不規則な生活、ストレスが多い、食事・運動の不十分などが

  原因で一次的な卵巣機能不全を起し、不定愁訴が出現するものと推察される。30才代で長期の卵巣機能不全が

  続けば排卵回数も減少し、現在の低出生率の一因とも考えられ、社会的にも問題である。

  対策としては、原因を探り、原因ごとに適切な対応すれば卵巣機能も改善し、不定愁訴も減少すると予想される。

  この30才代後半から40才代の更年期症状を訴える世代をプレ更年期といっているが、医学的には認知されていない。

  しかし、この時期の健康管理も疎かになりやすい世代であり、適切なライフスタイルと共に卵巣の働きにも関心を

  もつことは、その後の更年期、ポスト更年期のQOLの向上に大いに貢献すると考えられる。

 ▲わが国は、先進国のなかでは更年期女性のヘルスケアは非常に遅れており、相変わらず臓器別の対処療法を

  中心とした治療が主流である。更年期の女性が元気に過ごすことは、経済、社会、国家レベルから見てもそのメリットは大きい。