❈台所の食中毒 

 食中毒の病因物質には細菌、ウイルス、カビ、化学物質、自然毒(ふぐ、毒きのこ)

 原虫などが知られ、約3万人/年間が被害にあっています。

  細菌60%、ウイルス30%、自然毒7%の割合、,化学物質は10件/年程度です

                                                         食中毒による死者数
  病因物質 75〜79年 80〜84年 85〜89年 90〜94年 95〜99年 00〜04年
細菌性食中毒 サルモネラ 8 6 1 1 9 4
腸炎ビブリオ 9 2 1 2 1  
脳管出血性大腸炎       2 11 10
ブドウ球菌 8 2     1  
ボツリヌス菌 2 11 1      
自然毒食中毒 動物性 102 47 31 13 20 8
植物性 7 8 8 10 5 4

                               細菌性食中毒の発生状況  

                                                                                                                                            

 

 

 

 

 

 

 

    サルモネラ:鶏卵の体内汚染による           カンピロバクター:ブロイラーの汚染       腸炎ビブリオ:生食魚介類

    O157(腸管出血性大腸菌):国産の牛      ブドウ球菌:加工乳による      ウエルシュ菌:集団給食施設に多い

  ノロウイルス:生かき(冬季)による                                                                                        

    食中毒の原因食品

  細菌性食中毒の原因食品は魚介類、肉類、卵、穀類、野菜類、及び各加工品、菓子類、

  複合調理食品と多岐にわたっています。

  腸炎ビブリオ菌:魚介類   サルモネラ:鶏卵、食肉、調理食品   

  病原大腸菌(O157):焼肉、レバー、和え物、漬物   カンピロバクター:鶏肉

  セレウス菌(嘔吐型):焼き飯、ピラフ、スパゲテイー

  ノロウイルス(ウイルス性食中毒の殆ど):かきなどの貝類、

    ブドウ球菌:人の手指を介しての複合調理食品   ウエルシュ菌:前日調理の煮込みなど

  化学物質:ヒスタミンによるアレルギー様食中毒でマグロなどの赤身魚

                          *厄介な細菌と予防方法

細菌

広がり方 症状 予防法
カンピロバクター 肉の表面に糞便が触れると、加工処理中に肉及び鶏肉が汚染される。その他の汚染源は、殺菌していない牛乳、未処理の水 激しい下痢(時に血便)、腹部痙攣、  悪寒、頭痛、2〜11日後に発症。 1〜2週間持続 肉や鶏肉に完全に火を通すこと。生肉に触れた刃物とまな板の表面を洗うこと。殺菌していない牛乳または未処理の水を飲まないこと
ウエルシュ菌 肉、シチュー、肉汁ソース、一般に盛り付けた皿が食物を十分に温かくしておかなかった時、または食物の冷凍をゆっくりし過ぎた時に広がる。 水様下痢、吐き気、腹部痙攣、発熱はまれ。1〜16時間以内に発症。1〜2日持続 食物を温かくしておくこと。調理した肉は60℃以上に保つこと。最低74℃以上に再加熱。食物の冷凍は迅速に、小さい容器に入れて保存
大腸菌0157 屠殺中に牛肉を汚染。主に調理が不十分な牛挽き肉から拡散。その他の汚染源は、殺菌していない牛乳、殺菌していないアップルサイダー、人糞、汚染された水 水様下痢が24時間以内に血便に変わることがある。激しい腹部痙攣、吐き気、嘔吐、通常は発熱しない。1〜8日以内に発症。  5〜8日持続 牛肉は内部温度が70℃以上になるまで調理。殺菌していない牛乳または殺菌していないアップルサイダーを飲まないこと。トイレの後に手を洗うこと
サルモネラ 生の肉、鶏肉、牛乳または汚染されたこれらの食物や、汚染された卵黄。完全に火を通さないと、菌は生き残る。刃物、まな板の表面、衛生状態の悪い感染者によって拡散 激しい下痢、水様下痢、吐き気、嘔吐、38.3度以上の発熱。6〜72時間以内に発症。   1〜14日間持続 肉や鶏肉は完全に火を通すこと。殺菌していない牛乳を飲まない。生卵または加熱が不十分な卵を食べないこと。まな板の表面を清潔に保つこと。トイレの後に手を洗うこと
黄色ブドウ球菌 手による接触、咳、くしゃみを介して広がる。肉、調理されたサラダ、クリームソース、クリームを詰めた菓子で増える。 激しい水様下痢、吐き気、嘔吐、腹部痙攣、ふらふら感、1〜6時間以内に発症。          1〜2日間持続 危険が大きい食物を室温で2時間異常放置しないこと。調理に、手と料理道具を洗うこと
ビブリオ 生牡蠣、および生または加熱が不十分なイガイ、ハマグリ、丸ごとの帆立貝 悪寒、発熱、皮膚障害。1時間〜1週間で発症。発症例の50%が致命的 生牡蠣を食べないこと。貝類は全て完全に火を通すようにする

 

                                                     月別食中毒発生件数

 

  細菌性食中毒は6月〜9月の夏季に

 ウイルス系食中毒は冬季に発生が集中

 細菌の増殖に必要な条件は、栄養・水分・温度です。

 細菌は食品の栄養を利用して食品中で増殖します。

 

 気温が高くなり、湿度も多い夏はまさに細菌の天国で、細菌性食中毒が発生しやすいのです。

 一方、ウイルスは食品中で増殖する事が出来ず、人の腸内でのみ増殖します。

 ウイルスが食品に付着するだけで食中毒を起すウイルス性食中毒は夏の発生が少ないのです。

            食品の安全性の観点から不安を感じているもの
農薬 67.7 健康食品 48.6 カビ・自然毒 34.3 肥料 23.5
輸入食品 66.4 微生物 46.8 ウイルス 34.3 異物混入 23.3
添加物 64.4 飼料 45.1 放射線照射 29.7 その他 12.3
汚染物質 60.7 プリオン 42.6 新開発食品 27.3 無回答 0.4
遺伝子組換え食品 49 器具・容器包装 35.4 動物用医薬品 26.4   %

 食品を購入する際に重視すること・・・・生産地、期限表示、原材料、価格、食品添加物の有無、

 農薬・化学肥料の使用状況、製造者・販売者の信頼性、遺伝子組み換え表示

 期限表示の基礎知識・・・・・容器入りや包装済みの食品には日付けとして「消費期限」か「賞味期限」を

 表示しなければなりません。以前は製造年月日であった。

 この日付けはあくまで「未開封」で「表示された保存方法」で保存した場合の期限です。

 保存方法が書いていない場合は常温での保存となる。

     

 

 

  ✲消費期限・・・「いつまで安全に食べられるか」を示したもの(可食期限)で劣化の早い食品に表示されます。5日以内に食べたほうが良い食品(弁当、惣菜)

  ✲賞味期限・・・「いつまでおいしく食べられるか」の目安を示したもので、品質の変化が比較的緩やかな食品を対象に付けられ、表示された保存方法であれば

   期限内はおいしく食べられます。期限を過ぎたからと言って、すぐに品質が劣化してしまうというものでもなく、3か月以内のものは年月日で表示され

   超えるものは年月か年月日で表示されます。品質の変化が殆どない食品(食塩)は表示しなくてもよい。開封後は賞味期限も関係なくなる。

 

             感染型食中毒の増加

 従来の食中毒は食品中で増殖した多数の細菌或いは毒素を食品と共に摂取した結果発病するものが大部分でした。しかし、

 最近は感染型の食中毒が増えています。感染型の食中毒は飲食物と共に摂取された少数の微生物が体内、とくに腸管で増殖し症状を表します。

 

 細菌による食中毒が全体の80%を占める。

 カンピロバクターやサルモネラは感染型です

 ノロウイルス、赤痢菌・チフス菌・パラチフス

 菌・コレラ菌、O157が最近病因物質に加え

 られ、新たな食由来感染症としてE型肝炎ウ

 イルスも視野に入れねばなりません。

 これらの経口感染症は、いずれも10〜100個の少数で感染が成立します。こうした微生物で汚染された食品や水を介して感染し、発病した場合は「食中毒」。

 食品や水が介在せず、人から人へ感染し、発病した場合は「感染症」と区別される。病原微生物がウイルスであろうと細菌であろうと、食中毒の原因の

 多くは糞便由来の病原微生物による食品の汚染ですから、食中毒防止の鍵は、食品の衛生的な取り扱いに尽きます。

                 ◎  食中毒予防の三原則と衛生管理のポイント

 1食材や調理する人の手を介して菌を二次汚染させない。  2食品中で菌を増殖させない。  3食品に付着している微生物は加熱で死滅させる。

        ポイント

 @日頃から体調を管理する・・・下痢や咳のある人が調理に携わらない。     A手指に傷のある人は調理禁止

 B手洗いの励行・・・トイレの後、生肉や魚、野菜を触った後必ず手洗いをする癖をつけましょう。     Cダンボールや泥は厨房に持ち込まない

 D調理器具は作業のつど洗浄・殺菌・・・調理作業の前後には洗浄、熱湯、殺菌剤などで消毒する。

 Eふきんやスポンジは細菌の繁殖場・・・煮沸消毒し、食材用、食器用の区別をつけましょう。

 F「たまり水」に注意・・・厨房の床なども乾燥させておく置く事が大切です。

 G危険温度帯は10℃〜60℃・・・細菌が繁殖しやすいこの温度帯を1時間以内に通過させましょう。

 H解凍は冷蔵庫で・・・内部が凍っていても、室温では、解凍された表面で細菌が増殖を始める。

 I冷蔵庫に入れる食品の量は7割が目安・・・食品を詰め過ぎると冷蔵庫内での冷気の循環を妨げる。

 ★基本を守って食中毒を防ごう

  調理従事者は、往々にして食材を加熱すれば細菌は死滅すると信じていますが、加熱後の食品は「無菌」ではありません。

  通常の加熱では有芽胞菌が生き残っている。従って加熱後の食品の室温放置は避けねばなりません。「抗菌グッズで安心」でなく基本を忘れないように。

  食品に微生物をつけない為には、食品を取り扱う人が食品汚染の元凶にならないように、

   健康管理を徹底すること、手洗いを徹底することなどの基本を守る事が最も大切です。

  食中毒に負けない体作り・・・健康な食生活で健康な腸内細菌叢が形成されている人は、

   外部からの食中毒菌が増える事が出来ずそのまま体外に排出されます。

    食中毒の予防は微生物の制御と、微生物に負けない体作りが噛み合って始めて可能です。