医者の

  ◎マスコミの罪と罰 行き過ぎた癌報道

 出版社はその原点に返るべきでhがないのか  視聴者を迷わせる報道姿勢は問題だらけ

  ○出版社はその原点に返るべきではないのか

  ✱K医師の本を売っておいて文化人として顕彰?  癌は、現代人にとって最大の死亡原因ですから当然だと言えますが、TVや雑誌を初めとするメデイアは、癌についてしばしば報道します。

  そうした報道に接すると、マスコミは真面目に癌と向き合っているのか、疑問を感じることが少なくありません。特に、B社という出版社には呆れ果てます。B社と言えば、歴史もあり、現在も

  出版社として売り上げベスト10に入る、日本を代表する大手出版社です。近頃では、週刊誌のスクープ報道で「B砲」などと言われるほど耳目を集めているようですが、会社としての姿勢は

  どうなのでしょう。政治スクープや芸能報道についてまでとやかく言う立場ではないが、最近のB社の表彰のあり方には強い疑問を抱きます。C賞です。C賞は、N会が文芸・映画などの

  文化に貢献した人を表彰する賞だといいます。2012年、その第60回表彰には、K医師の名もあります。彼の癌放置理論は、川島なお実さんの件ですっかり化けの皮がはがれたと思いますが、

  そういう人物に文化的な業績を認めて賞を与えるという見識はどうなのでしょう。C氏といえば、B社の創業者です。しかもN会は公益財団法人ですが、B社のビル内に事務所があります。

  ということは、K氏の表彰にB社の意向が働いていることは否定できないでしょう。「放置など!」と熱くなってしまいますが、冷静に考えれば、K医師は一個人として持論を展開しているだけです。

  我々の社会は「言論の自由」が認められているものですから、彼が持論を発表し、他の医者がそれに反論するのは健全なことです。ところが、メデイアは一方を正論のように取り上げ

  国民の理解にバイアスをかけているのではないでしょうか。B社以外のメデイアも同罪です。言論の自由のもと、広く情報や意見を提供し、判断は読者に委ねるという姿勢のようです。

  出版には良く考えて進めてほしいものです。メデイアは今や、「第4の権力」とも言われるほど、国民に影響力を持つ存在です。言論の自由はメデイアの責任によって担保されるものであり、

  メデイアの姿勢がおかしいと、言論の自由も歪んだものになってしまうのではないでしょうか。K医師の事実上の出世作は、1996年にB社から刊行されています。その後もB社は、氏の本を

  沢山世に出しています。その人物に賞を与えるとは、営業的な意図のようなものを感じざるをえません。そのような行為が、川島なお実さんのような人をさらに生み続ける原因にもなります。

  視聴者を迷わせる報道姿勢は問題だらけ

  ✱間違った癌情報を平気で垂れ流しているマスコミ  TVや週刊誌などのマスメディアには、売り上げのため、もしくは注目を集めるために、事実の曲解や誤解に甘い体質があるのではないか。

  癌報道では、きちんと事実を把握して、或いは理解して情報を流しているのでしょうか。一般の人達の癌に対する知識は、殆どがマスメデイアやインターネットの記事によって作られると言っても

  過言ではないでしょう。報道の質が、国民の癌に対する認識に影響します。だから気をつけてほしいのです。TVでも、明らかな間違いを平気で報道している番組が少なくありません。

  有名人の癌について大きな報道があると、色んな医者が出てきて解説をします。TV局は「専門家の解説」というお墨付きがあるからいいと思っているのでしょうが、今迄述べてきたように、

  医者の言うことには嘘が混じっています。癌専門医の意見は、そもそも標準治療の域を出ていません。従って番組制作側の知識程度や意図、料理の仕方次第で、いくらでも間違った情報を

  世の中に発信することができるのです。有名人の闘病というドラマには、PP区の視聴者が引き付けられ、むさぼるようにその情報に耳を傾けます。そこでいい加減な情報を流したら、間違った

  知識を視聴者に刷り込み、植えつけることになってしまいます。

  ✱無神経極まりない有名人の癌闘病報道  論点はやや変わりますが、有名人が癌を公表した後のメデイアの報道合戦にも、非常にいやらしいものを感じます。ここ1年に限っても、多くの

  有名人の癌報道に目がとまるが、この原稿を書いている間にも、歌舞伎のE夫人であるMさんの乳癌闘病で報道が過熱しました。その報道姿勢に、知人の一人は「Eさんが語っていない

  癌のステージまで詮索していたが、あれはいきすぎではないのか」と憤慨していました。Eさん夫婦には、小さな子供いますし、周囲の耳や口もあるでしょう。そうした負の影響を考えると、

  メデイアの人権侵害は明らかです。また、キャスターや専門医達がコメントしていた内容にも、疑問に思える点が数々あったと聞いています。「進行癌の治療は難しいけれども、抗癌剤治療は

  日進月歩だから頑張ってほしい」とか、「吐き気等の副作用を抑える良い薬が出てきた」という話。抗癌剤そのものの作用は、60年前から殆ど何も変わっていません。また、表面的な副作用を

  抑えたとしても、抗癌剤自体の性質は何も変わっていません。抗癌剤が役に立つことを否定しないし、患者さんに抗癌剤の拒否を勧めることもありません。しかし、「日進月歩」といった

  抽象的な言い方で、抗癌剤への幻想を植え付けると、将来、視聴者が癌を患った時の判断に影響するのではないでしょうか。抗癌剤の限界を隠し、期待だけを抱かせる報道は罪深い。

  それなら、初めから報道やコメントしないほうがましだと思います。Mさんが乳癌であることから、乳癌で保険適用のハーセプチンを持ち出し、「癌細胞だけを殺す薬も出てきている」と

  コメントした医師もさえいたそうです。これも嘘の塊で、癌細胞だけを殺す薬等、いまだに一つも開発されていません。しかも、ハーセプチンなどの分子標的薬は、ごく一部の癌にしか保険適用

  になりません。保険診療を前提とするなら、殆どの人が使えない薬の話をしても仕方ないでしょう。もちろん、乳癌なら条件次第でハーセプチンも使えるわけですが、報道の段階で、Mさんが

  ハーセプチンを使っているのか、この薬に合っている癌なのかといったことは分からなかったはずです。そんな浅いコメントをして、傷つく人がいないと思っているなら、無神経の極みです。