医者の

  夢の新薬、オブジーボの問題点

  ✱免疫チェックポイント阻害薬の知られざる副作用  最近出てきた免疫チェックポイント阻害薬には、問題点があります。初めて承認された免疫チェックポイント阻害薬は、商品名オブシーボ、

  一般名ニボルマブと言います。メデイアは夢の新薬とはやし立てましたが、本当にそうなのでしょうか。この薬の特徴は、5つあります。①高額であること:この薬は体重を目安に処方量が決まります。

  体重60kgの平均的な成人が投与を受けると1回170万円、年間で3500万円。2016年11月薬価を50%引き下げることが決まりました。それでも年間1750万円と高額です。

  ②使い続ける必要があること:この薬を使っても完治はせず、期待される主な効果は延命であるため、延々と使用しなければなりません。1年当たり1750万円が何年もかかわるわけですから、

  何万人も使えば薬代だけで兆円単位の高額になります。③患者負担の増加につながること:このように高額な薬で延命する患者さんが増えていくと、国の財政が持たなくなるため、自己負担額の

  増加を検討せざるをえなくなる可能性があります。すると、治療費の為に自己破産者が急増する事態になりかねません。④効果が予測できないこと:通常、抗体医薬品など他の分子標的薬は、

  処分の目安となるマーカー(標的)などが決まっており、効果が期待される患者さんに投与されます。しかし、この薬は、誰に効果があるのか使ってみないと分かりません。⑤自己免疫疾患が

  多発すること:そして、最も重大なリスクとして、免疫チェックポイント阻害薬は免疫バランスを司るT細胞を暴走させるため、自己免疫疾患が多発するのです。来院した患者が某大学研究所で

  免疫チェックポイント阻害薬の治験を受けようとした時、医師から、「1割ぐらいの人に治療不能な自己免疫疾患、例えばⅠ型糖尿病、関節リウマチ、筋ジストロフィー、重症筋無力症が出るが

  いいか」と伝えられ、断ってきたと言っていました。このような重大な副作用が頻発する薬を、夢の新薬と言えるのでしょうか。

  治療を放棄して哲学を語るのは本末転倒

  ✱医者の本分は病気を治し、患者を救うことのはず  「癌哲学外来」という集いが全国に広がっているようです。これは、一般の人同士が、癌について自由に語り合うことで、心のケアとしていこう

  と言う試みです。某大学医学部のH教授が中心になって、すでに10年近く続けている取り組みです。これまでの病院では、癌患者の心のケアが十分できていなかった。そういう思いから、専門家の

  H教授が先頭に立ち、コーディネーターを養成するなどして、各地でカフェ形式の集いを開催しているようです。末期癌を宣告されている患者さんや、患者さんを支える家族の方等、癌について

  語り合うだけでも救われる人はいると思います。唯、ひっかかるところは、それが医者の本分だとは思えない点です。患者さんの心のケアは確かに大事ですが、医師の本分は、やはり病気を

  治して患者さんの命を救うことのはずです。現在の進行癌に対する標準治療は、延命を目的としています。それは完治させるのを諦めているということです、その上「進行癌には哲学を」となっては

  いけないと思うのです。

  ✱患者に哲学を押し付けることは戒めるべき  癌医療は、極限では死と向き合うところがあります。K理論へのコメントとして「死をタブー視せずに向き合うべきだ」という意見が出てくるのも、

  そのためでしょう。ですが、別に癌でなくても、人は死ぬ時には死にます。死生観と癌治療を、医師が同列に論じるのはおかしいのです。大多数の患者さんは、いかに死ぬかではなく、いかに

  生きるかを求めているはずです。そこに哲学を語りかけても、満たされることはないでしょう。自由意思に基ずいて、自分なりの死生観を突き詰めるのは、誰にとっても、結構なことです。しかし、

  「貴方は癌だから死と向き合おう」と押し付けるのは、皆さんにとって非常に酷なことです。それでは、医者の使命を放棄した論理のすり替えになってしまいます。確かに、患者さんやご家族への

  グリーフケア(悲嘆ケア)などの面でも、日本の現状は欧米諸国に比べて劣っており、心のケアは課題だと思います。心を癒す取り組み自体は有意義だと思うのですが、それを、癌専門家が

  癌を治せないことへの”免罪符”にしてはいけないと思います。