医者の

   癌には癌の免疫がある

  ✱そもそも免疫力の高い人は癌にならない

  K医師は、転移しないがんもどきがあると言います。おでんでもあるまし、と思います。そういう摩訶不思議な理論を唱えることができるのは、癌が何故発症するのか知らないから

  ではないか。そう疑ってしまいます。癌という病気は、免疫不全病なのです。癌細胞の発生と変異には、偶然に左右される遺伝子の損傷がかかわっています。ですから、

  K医師が言う「がんもどき」という状態にとどまり続ける細胞など、理屈として考えられません。癌には進行の遅い癌と速い癌があるが、そうした進行の速さの差は、癌細胞の種類や

  発生段階の違いによるものです。生まれてすぐに転移する本物の癌と、転移しないがんもどきの別があるわけではありません。そして、それ以上に癌の発症や進行に関係して

  いるものがあります。免疫です。これが、大いに発癌やその進行に影響しています。癌細胞は、活性酸素やストレスの影響で、毎日、体内で生まれています。それでも通常癌に

  ならないのは、体内で発生した癌細胞を、免疫がどんどんしらみつぶしに殺しているからです。これは、オーストラリアのバーネット博士が提唱し、ノーベル賞を受賞した

  「免疫監視機構」説で、今日では定説になっています。そういうメカニズムがしっかり働いている限り、相手が本物の癌であろうと、がんもどきであろうと無関係です。

  免疫力の高い人は、癌細胞ができようが、がんもどきができようが、癌にならないのです。では、癌になるのは何故か。癌患者の免疫力は、健常人と比べて明らかに低下して

  います。癌が発症し、進行する前提条件として、免疫力の低下があるのです。癌という病気の”発症”に関して、一番の問題は「免疫力」なのです。

  ✱癌に対する免疫力が高いとはどういうことか

  「癌と診断されたら、すぐ免疫療法にも相談してください」と言っています。癌は免疫の病気だからです。体を守る免疫システムの担い手として、私達の体内には、様々な免疫細胞がいます。

  免疫細胞というのは、分かりやすく言うと、血液中にいる時「リンパ球」と呼ばれる細胞たちです。血管の中にいるリンパ球は、全身に存在する免疫細胞の一部で、ウイルスに感染した細胞を

  壊すキラーT細胞(CTL)、感染した細菌やウイルスに対して抗体を作るB細胞、T細胞やB細胞を誘導する樹状細胞、その種類は多彩です。そして、癌に対する免疫は、外から侵入してきた

  細菌などを迎え撃つ感染症免疫とは、別の細胞が受け持っています。それを「腫瘍免疫」といいます。ひらたく言えば「癌免疫」です。様々な免疫細胞の中に、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)

  と呼ばれる細胞があります。これが、癌免疫の主役です。キラーT細胞も獲得免疫として癌を攻撃するが、補助部隊としてで、主役はNK細胞です。癌細胞は、外から入ってくる異物ではなく、

  もともとは自分の細胞だったものです。遺伝子に損傷を受けて突然変異を起こし、異常に増殖するようになった細胞が、何億個にも増えて固まり(腫瘍)を作るのが固形癌です。その発端と

  なる癌細胞の発生は、全然珍しいことではなく、毎日数千個と言う頻度で発生していると考えられています。しかし、体内に数百個ものNK細胞がいて、癌細胞が腫瘍を作る前に見つけ次第、

  攻撃して殺しています。NK細胞がパトロールをしてくれているお陰で、私達は滅多に癌になることはなく、癌に対する免疫力が高いというのは、このNK細胞が活発に活動していることです。

  ✱癌の完治を目指す時鍵を握るNK活性

  NK細胞による腫瘍免疫の強さの度合いを、「NK活性」と言います。NK活性が高ければ、癌細胞ができても、すぐにNK細胞がやっつけてくれます。だから、癌と言う病気にはならないのです。

  癌は、体内のNK活性が低下し、癌細胞を殺す働きが鈍っているために発症します。そこで、癌を完治させようとするなら、NK活性を高め、回復させることが不可欠なのです。

  この程度のことは、今時の高校生にも理解できます。癌専門医がそんなことも知らないなら、医師失格と言えるでしょう。21世紀の幕開けと共に一般診療を開始したANK療法や、ADCC活性

  (NK細胞の攻撃力を高める作用)を持つ分子標的薬は、NK細胞の活性化を考えた治療法です。しかし、標準治療では、殆どNK細胞と言う言葉を聞きません。最近になって、免疫チェック

  ポイント阻害薬という薬が一部、保険適用になり、標準治療の医師達も、ようやく免疫を語るようになってきています。しかし、多くの医師が語る免疫の話は非常にお粗末で、付け焼刃なものを

  感じます。それは「NK細胞」という言葉がそこから欠落しているからです。癌の本質にかかわるNK細胞抜きで免疫を語るのは、怠惰、もしくは無知だと言えます。癌医療と言うパズルは、

  NK細胞というピースを付け加えた時、初めて完治を目指すものに生まれ変わるのです。