健康寿命120才説

  ◯寿命を縮めた石臼文化の衰退

  世界「長寿郷」と「石臼文化」

  「どこの長寿郷を尋ねても、長寿の決め手は粗食でした」そして、その鍵として挙げられるのがナンと塩なのです。ナンとは、インドカレーでお馴染み。トウモロコシや小麦など、穀物の粉を水な

  どで練って焼いたものです。それと、塩の2つが、超長寿の秘訣と森下博士 は断言します。1970年代、長寿郷には150才を超える超長寿者が結構いた。1970年代、特にコーカサス地方には

  160何才で亡くなった有名なシラリー・ムスリモフさんはじめ、150才台が3,4人いたのです。それが、1980年代になると上限が140才代、更に10年経つと130才になり、今は120才代。10年経つ

  ごとに、最高寿命が10くらいずつどんどん下がっている。それが、次第に減っていった原因はいくつか挙げられます。地球環境の悪化という要素や、文明と隔絶されていた長寿郷に徐々に

  現代文明が入り込んでいったという側面もあるかもしれません。その中に実に興味深い森下博士の分析があります。それは「石臼を使わなくなった」からというものです。「どうも、人間そのも

  のが、ひ弱になってきている感じです。その一つの理由は、石臼を使わなくなった」からというものです。石臼というのが、とても重要な意味を持っていて。ー石臼が廃れて、人類の寿命が縮

  んだー「石臼が廃れることと、人類の寿命が短くなったことにどういう関係があるの?」と疑問wpお持ちの方もいるでしょう。しかし、これは実に重要な指摘なのです。

  精白された小麦粉の害

  「18世紀末の産業革命で動力が発明され、単純な反復作業は機械力、モーターを回転させることで済むようになった。小麦粉などが、それまでのものと違って、細かいメッシュの、風が吹いた

  らパッと吹き飛んでしまうような細かい微粉末につくりかえられるようになってから、様子がおかしくなったのです。それ以前のものは、石臼でひいいていた。石臼製のものは、いわゆるパウダ

  ーにならないのです。つまり、()き割り、俗に言う「粗碾き」です。「粗碾き」粉作ったナンこそが、150才という超長寿を支えたーと博士は言う。その意味するところは何なのでしょうか。

  現代の私達が食べているのは「精白された小麦粉」です。工場に出荷された小麦からは様々な不純物が取り除かれ、できるだけ小さく砕かれます。白い小麦粉にするため、表皮や胚芽を取り

  除いているのです。この段階で、本来、小麦粉に含まれているビタミンやミネラルは全て失われています。精白された小麦粉は長期間貯蔵でき、品質も一定になります。そのため、大量生産

  には「精製」は無くてはならない工程です。今、私達が口にしているのは、この小麦粉です。

  何故精白が問題になるのか?

  では、何故精白が問題になるのでしょうか?それは、炭水化物を消化・代謝するには小麦に一緒に付いていたビタミンやミネラル、食物繊維が必要だからです。永泊された小麦には、それら

  が一切含まれていませんから、身体はなんとか代謝しようと、別の用途のためにとってある大事なミネラル、ビタミンを使ってしまうのです。これに対して、石臼は、小麦そのものを挽くので

  すべての栄養素が残されます。、さらに、食品の成分を高い温度で壊したり、急速に酸化させたりすることがなく、その食品の持つ栄養素を破壊しません。因みに、現代の製粉機は高速回転

  のため大きな摩擦熱が発生し、食品に含まれる成分を変性・破壊してしまうのに対し、人力で回すスピードはその1/100です。ソバを挽くのは石臼に限る、とも言われています。石臼は叩き

  潰すのではなく、「剥がし取る」作用で粉砕が行われるため、ソバの実の繊維構造を壊すことがなく、これがソバの食感をよくするとされています。また、臼面の溝に閉じ込めた状態で粉砕する

  ので香りが飛ばないのです。  

  メリケン粉に変わり寿命半滅

  さらに森下博士はこう付け加えます。

  「石臼の山と、下の山が交差する時に、一粒の麦或いはトウモロコシがパチンと5~10個に割れる。この状態だと穀物の”気”が、それぞれのパーツに、そのまま100%残るわけです。実に

  原始的ですが、この「粗碾き」穀物で作ったナンこそ、長寿の決めてというのです。「穀物一粒だと、無理な場合があるけれども、一粒を5つか10ぐらいに割ると、遠赤外線の熱は、完全に通る

  んです。彼等は、それを知っていて、石臼で割った穀物でパンを作った。その時代はヨーロッパでも150才まで長生きする人はいたんです」ところが、産業革命でモーターなど動力が発明され

  製粉機も近代化された。こうして「粗碾き」粉から、きめ細かなパウダーになったのです。「パンの原料がメリケン粉bに変わった途端に、寿命が半減して、今は75才くらいがピークですね」

  こうなると文明とは、なんと愚かなことかと嘆じるしかない。

  北緯40度「石臼」ベルト地帯

  「動力化しないで、昔ながらの石臼文化を継承している地域が、長寿郷として残っているわけです。それは、コーカサスから中央アジア・パミール高原周辺、中国・新疆ウイグルに至る、

  8000kmにわたる北緯40度前後のベルト地帯なんですね。人種も宗教も生活習慣も違うけれど、皆な石臼を使って、食事のたびに小麦やトウモロコシを挽いて、パウダーではなく、碾き割りで

  パンをつくるということを申し合わせたようにやっている。それを、森下調査団が発見したのです。超長寿の根拠は「石臼文化」にあったとは。只々、意外と(うな)るしかない。一見、不便に

  見えて、そこには奥深い真理が潜んでいたのです。「これは、女の子の仕事なんです。直径1mくらいの大きな石臼が積み上がっていて、なかなか動かない。我々は、どうやって回すのだろう

  と思っていましたら、6~7才の女の子が小さな子をおんぶして、歌を歌いながらテコの原理を応用して腰を使ってその反動で石臼を回すのです。これが世界的な長寿郷におけるライフスタイル

  で、食事の度に小麦やトウモロコシを屋根裏から下ろしてきて、その都度轢いている。これがポイントです。だから鮮度も良いとも言えます。彼等の長寿の秘訣はこんなところにあったのです。

  長寿郷では殆ど自給自足の生活でライ麦とか黒麦でパンを作る時には、必ずその日に轢いて、焼くのもカマドです。能率主義にならずに、親から教えられた伝統を守っていく。長寿のメインが

  穀物でサブが発酵食品のヨーグトルトです。これからの自然食運動は、単に新鮮な物を摂取するだけでなく、その”気”を取り入れ、保ち、養うという生き生きとした生命観を持つ。石臼文化の

  復活が日本人の体質改善には必要と思えます。