生涯健康脳

  ◎「人間の幸せ」のカギは、前頭葉が握っている!

脳はこんなに面白い 人間らしさは「前頭葉」にある!
女性の脳は男性の脳より加齢に強い 「前頭葉」は最後にできて、最初に壊れる
男性の脳と女性の脳はこんなに違う! 脳の中に高速道路をつくる
自閉症児は超男性脳を持っている 「海馬」が記憶をコントロールする
脳の体質と頭の良さは比例する 「海馬」は記憶や情動のハブ空港
脳の中は会社に似ている

  ◯脳はこんなに面白い

  TVや雑誌で認知症のことが取り上げられていて、脳についての関心も高まっています。しかしながら、その脳の情報が断片的であったり、極端な事例だったりで、なかなか脳に

  ついて基本的な理解を深めるには、物足りない感じがしている方が多いのではないでしょうか。「生涯健康脳」を保つにはまず脳について知ることが大切です。MRI装置の発明で、

  脳の研究は飛躍的に進みましたが、実は「脳」のことの全てが分かっているわけではないのです。ですから「脳」のことは研究すればするほど面白くミステリアスで、脳の仕組みの

  不思議さに感心させられてしまいます。男性と女性とでは脳が違うとか、脳の体積と賢さには関係があるとか、脳はどのように作られどのように壊れていくかとか、「人間らしさ」は

  脳のどこが決めるのかなど、この章では脳がどれほど不思議で面白いかについて、興味深いお話をしていきます。

  ◯女性の脳は男性の脳より加齢に強い

  男性の脳と女性の脳、どちらの脳が加齢に強いと思いますか?両者を比べた場合、男性としては残念ですが、これは女性に軍配が上がります。女性の方が男性より、脳の加齢に

  強いのです。そのカギを握っているのが、女性がもっている女性ホルモンのエストロゲンです。このエストロゲンは「女性の体を守るホルモン」で、閉経までの長い期間分泌され

  続けます。そして女性としての体を作るだけでなく、骨や血管を丈夫にし、コレステロールのバランスをとるなど多くの働きをしています。このエストロゲンが脳を守ることにも関係

  していることから、女性は男性より脳の加齢に強いと考えられるのです。年齢別に男女それぞれの脳画像から体積を調べてみると、男性の脳は20才くらいから一定のスピードで

  体積が減っていきますが、女性の方は50才頃までは体積の減少が緩やかであることが、分かっています。女性は50才を過ぎた頃になって初めて、男性と同じようなスピードで

  減少し始めるのです。つまり、女性は、女性ホルモンのエストロゲンが脳に対して保護的な働きをして、かなりの年齢まで体積が保たれるわけです。しかし、エストロゲンの分泌の

  少ない男性は、若い段階から脳の体積の減り方が結構早いというわけです。男性からすると残念なことですが、こうした性差はいたしかたないと白旗をあげて受け入れるしかない

  でしょう。また、男性の脳と女性の脳を比べてみると、形や機能にも違いがあることが分かっています。脳の「前頭葉」や「側頭葉」という領域にある、言語を扱う「言語野」という

  ところの体積が一般に女性の方が大きく、また「言語」能力も男性より女性の方が高いことが分かっています。言語というのは、お喋りやコミュニケーション。女性の能力が高い

  のは分かる気がしますね。また言語野には、文字を理解したり書いたりする働きもあります。日本文学の最高峰と言われる「源氏物語」を女性である紫式部が書いたことや、現在

  芥川賞などの受賞者に女性が多く見られることも、まさに女性が言語能力に長けていることを証明しているのではないでしょうか。一方、男性は空間を認知したり論理的思考力を

  つかさどる「頭頂葉」の体積が大きく、この部分の能力が高いと言われています。女性より地図を読むのが得意だったり、ただ話を聞いて欲しいという女性に対して、面倒くさいと

  感じたり、すぐに解決策を述べたくなったりするのも、どうやらこの脳の違いによるものです。