全ての疲労は脳が原因

  ◎「ゆらぎ」のある生活で脳疲労を軽減する

森が快適なのはマイナスイオンの作用ではない デスクワーク中に立ち上がるだけで疲労が軽減する
生体に「ゆらぎ」があるから自然環境は心地よい 「休日に1,2泊で温泉旅行」は疲労のもと
「ゆらぎ」で疲れにくい環境を作ることができる 「緑青の香り」が疲労を軽減する
「ゆらぎ」を意識してサーカデイアン・リズムを整える 理想の休日の過ごし方は犬や猫を見習う

  ◯森が快適なのはマイナスイオンの作用ではない

  科学的な根拠がある脳疲労を軽減するための実践法として、まずは「睡眠」、次に「食事の成分」について述べました。この章では、オフィスや住空間など「環境」について考えて見ましょう。

  2p004年から、厚労省、農水省と各研究機関などが産官学連携で「森林セラピー」の効果を科学的に検証し、予防医学に役立てようとする研究が行われています。脳疲労を軽減するには、

  自律神経の副交感神経を優位にして脳と体の活動を休息モードにする必要がありますが、これまでの研究で、森林の様々な要素が副交感神経を優位にすることが分かってきています。

  実際、森林を散策する、森の奥にある滝つぼに行くなどすると、疲れが致され、リフレッシュする感覚があると思います。森に癒やしを求める「森林浴」では、樹木が発している香りの成分

  「フィトンチッド」にリラックス効果があると言われています。また、滝つぼやピーチのような水際では、水の細かいしぶきから「マイナスイオン」が発生しており、このマイナスイオンにも疲れを

  癒やしてくれる作用があると言われています。しかし、ここで確認しておきたいのは、森林や滝つぼがもたらすリラックス作用は、フィトンチッドやマイナスイオンによるものではないということです。

  フィトンチッドには殺菌作用は確認されているが、疲労を軽減する作用は見つかっていません。マイナスイオンは科学的にその癒やし効果を実証する以前に、存在そのものが曖昧なのです。

  マイナスイオンという言葉は和製英語で、日本以外の国々では研究の対象にもなっていません。では、リラックス作用をもたらすものがフィトンチッドでもマイナスイオンでもないとしたら、一体

  何が森林のヒーリング効果をもたらしているのでしょうか。その答えは、「ゆらぎ」にあります。「ゆらぎ」は、脳疲労を軽減することが解明されています。それでは、「ゆらぎ」とは、具体的に何の

  ことを言うのか見てみましょう。森を歩くと木漏れ日が輝き、そよ風がどこからともなく体をそっと撫でていきます。耳を澄ますと川のせせらぎ、鳥の鳴き声が聞こえてきます。滝つぼでも、空気

  中に舞い上がった細かな水の粒子がランダムに広がっています。風邪の強さや方角は常に変わり、温度も湿度も、滝が流れ落ちる音も微妙に変化しています。このように、一定の平均値から

  微妙にずれたある程度の「不規則な規則性」を持つ現象を「ゆらぎ」と呼びます。「カオス」という言い方をする場合もあります。森は、最も「ゆらぎ」に満ちた空間環境なのです。

  ◯生体に「ゆらぎ」があるから自然環境は心地よい

  何故、人は「ゆらぎ」を心地よいと感じるのでしょうか。それは、自然環境に存在する人の生態も常にゆらいでいるからです。自然環境の「ゆらぎ」と人体の「ゆらぎ」がシンクロすることが心地

  よさをもたらしていると考えられます。自然界に一定な事象はありません。自然環境のあらゆる事象は常に「ゆらぎ」を持っています。素粒子のようなミクロの世界でも、或いは宇宙のような

  マクロの世界でも、「ゆらぎ」は共通に見られます。人の生態活動にも、「ゆらぎ」があります。まず、体の要となる脳と心臓を見てみると、脳波を計測すると、その曲線は毎回ずれています。

  心臓の拍動数である心拍数も、刻々と変化します。このことは、人の体が「ゆらぎ」ながらコントロールされている事を示しています。人の生体活動として、心拍、脳波、呼吸、体温、血流、血圧、

  などを計測した場合、計測値に最もノイズが少ない状態の「ゆらぎ」が観察できるのは、目の瞳孔です。瞳孔の大きさをコントロールしているのは、自律神経です。自律神経は常に、「ゆらぎ」

  を持っており、それが瞳孔の大きさにも反映します。交換神経が優位になると瞳孔は開き、副交感神経が優位になると瞳孔は閉じていきます。また、正しい視覚情報を得るためにも瞳孔の

  ゆらぎは大きな役割を担っている事が知られています。目は脳のすぐ近くにある器官なので、自律神経を観察する場合は、瞳孔径の「ゆらぎ」を追ってデータを記録していきます。つまり、目は

  自律神経の窓、と言え、人の体で自律神経を観察する場合は、不要なノイズに惑わされることがない瞳孔の「ゆらぎ」を追うのが適切であり、疲労測定のバイオマ-カーの役割をも担います。