全ての疲労は脳が原因

  ◎疲労の原因物質とは

乳酸は疲労の原因ではない ヒトヘルスペスウイルスも疲労の蓄積度を示す
疲れの直接の原因となるのは活性酸素である 疲労回復因子FRが疲労因子FFを抑制する
サングラスで紫外線による疲労を最小限に留める 疲労回復を促す疲労回復因子FRは加齢で変化する
疲労因子FFの発見で疲労度が計測できるようになった

  ◯乳酸は疲労の原因ではない

  あらゆる疲労の本質は「脳疲労」であること分かっていただけたと思います。ここではもう一歩踏み込み、脳で疲労を起こしている元凶が何なのか、最新の研究成果を伝えます。

  その前に、疲労の原因についての誤解を解いておきます。これまで、疲労の原因物質とされてきたのは「乳酸」でした。乳酸とは、体内で糖質を代謝してエネルギー源として利用

  する時に生じる物質ですが、長らくこの乳酸が疲労の原因だと医学界では言われてきました。現在の医学では否定されていますが、いまも乳酸=疲労物質と信じる人が少なく

  内容ですから、乳酸と疲労との関わりについて触れておきます。乳酸=疲労物質説の源流になったのは、乳酸は酸の一種のため、筋肉中で濃度が高くなると筋肉が酸性に傾き

  食事で得た栄養素をエネルギーに変える酵素の働きを悪くする。すると筋肉がエネルギー不足に陥って疲労が起こり、乳酸が脳にそれを伝えるシグナルとなって疲労感がj自覚

  されるー。これが乳酸=疲労物質説に基づく疲労の説明です。この乳酸=疲労物質説は、近年の複数の研究によって「反証」され、誤りであることが分かりました。これはカエルの

  実験から導かれた説であったが、ラットやマウス、ウマなどの実験で「乳酸を投与しても、何事もなかったように運動をし続ける」という結果が次々と発表され、「乳酸が溜まった

  筋肉ではパフォーマンスは低下するものの、乳酸がパーフォーマンスの低下をもたらすという証拠にはならない」と結論づけられました。また、乳酸は疲労物質であるから老廃物
 
  だ、という見方があったが、乳酸の働きについても解明されつつあります。筋肉の2大エネルギー源は糖質と脂質です。この内脂質は酸素がないとエネルギーを作り出せないのに

  対して、糖質は酵素の有無に関係なくエネルギーになります。安静時や強度の低い運動時には、体内に酸素が十分にあることから、脂質が生命活動の主なエネルギー源になって

  います。一方、強度の高い運動をすると筋肉内の酸素の消費が増えるため、酸素がなくてもエネルギーになる糖質が主なエネルギーとなります。乳酸は、この酸素の少ない環境

  下で糖質が代謝される時に産生され、酸素が供給されだすと筋肉の細胞のエネルギー源として利用されます。このように、乳酸は老廃物などではなく、糖質の分解やエネルギー

  の再利用に働くということが判明しています。また、乳酸=疲労物質説が唱える「乳酸が増えると酸性化が進む」というのも思い違いです。筋肉中のpH(ペーハー)は一定範囲内

  に保たれており、運動によって極端に酸性に傾くことはありません。更に最新の研究では、乳酸の増加とそれに伴う若干の酸性化はむしろ筋肉の活動を促進することが分かって

  きています。運動中は、筋肉内だけでなく脳内でも乳酸が確認されています。但しこの乳酸は、脳内の細胞(グリア細胞)から供給されているもので、疲労した筋肉の産生されて

  脳まで運ばれてきた乳酸ではありません。神経細胞のエネルギー源は主に糖質ですが、この乳酸も同様に神経細胞のエネルギー源になっています。これらのことから、疲労した

  筋肉では乳酸の濃度は高くなるが、それは筋肉のパフォーマンス低下とは関係がない事が分かります。脳の疲労こそが筋肉の疲労をもたらしていることを理解しておきましょう。