全ての疲労は脳が原因

疲労の原因は脳にあり 科学で判明した脳疲労を改善する食事成分
疲労の原因物質とは 「ゆらぎ」のある生活で脳疲労を軽減する
日常的な疲労の原因はいびきにあった 脳疲労を軽減するためにワーキングメモリを鍛える

  「疲労」と聞くと「ガス欠」、即ち、車のガソリンが0になるようにエネルギーが枯渇するイメージを持っている人も多いと思います。また、「仕事や運動

  をすればエネルギーを消費するから体が疲れるのは当たり前」と思っている人も多いのではないでしょうか。エネルギー自体が枯渇して疲労を起こ

  すことは滅多にありません。仕事や運動をして体の疲れを感じるのは、エネルギーが不足したからではないのです。日本は「疲労大国」と言われ、

  文部科学省の疲労研究班が2004年に行った疫学調査では、日本人の60%が何らかの疲れを感じていることが判明され、更に、「半年以上疲労が

  持続して悩んでいる」人が40%も存在するという報告もあります。過労死を意味する「KAROSHI]は英語圏でもそのまま使われており、辞書にも掲載

  されています。それほど日本では「疲労」が浸透しているにもかかわらず、一方で、実は、疲労の原因やその科学的メカニズムは殆ど理解されてい

  ないのが現状です。例えば、次のような疲労回復説を耳にしたことはありませんか。・運動でストレスを発散すると疲れもすっきりとれる ・にんにく

  料理、ウナギ、焼き肉、栄養ドリンクで疲れは軽減する ・休日に人気の温泉地でたっぷりお風呂のはいって、疲れを取る ・残業の疲れは、楽しく

  お酒を飲めばリセットできる これらは全て、科学的な根拠に裏打ちされているものではありません。それどころかむしろ疲労を悪化させるリスクの

  ほうが高いことが分かっています。こうした実は根拠の無い説を信じて、疲労をどんどん悪化させていることも日常生活の中で非常に多いのです。

  では、一般に見られる疲労がエネルギーの枯渇が原因でなければ、そもそも、何故、そして、どのようにして疲労は起きるのでしょうか。その答えは

  「細胞のサビ」にあります。「酸化ストレス」という言葉を耳にされたことがあると思います。酸化ストレスとは、体内で活性酸素が過剰に発生すること

  で引き起こされる有害な作用を言います。疲労は、細胞がこの酸化ストレスに晒されることで錆びてしまい、細胞本来の機能を維持できなくなること

  で起こるのです。もちろん、疲労の原因の全てが酸化ストレスというわけではないが、癌患者の場合は、癌細胞による体全体への悪液質が発生し、

  それが疲れの原因になります。また、風を引いた際にはインターフェロンという蛋白質の一種が分泌され、それが体温を上げてウイルスの繁殖を

  抑えると同時に、防御的に活動量を抑えるため精神状態をうつにして疲労感を覚えさせます。このように、疲労とは症候群であり、原因は様々です。

  しかし、大多数の健康な人においては、エネルギーの枯渇でもインターフェロンのせいでもなく、細胞への酸化ストレスが大きく関わっています。

  では、体のどこで酸化ストレスが最も激しいのでしょうか、言い換えれば、体の中でどこが一番疲れやすいのでしょうか。例えば、長時間のジョギン

  グや暑い中ゴルフをしていると、「体が疲れた」と感じることでしょう。しかし、研究によると、4時間、体に負荷を与える運動を続けても、実は筋肉や

  肝機能などに殆ど影響しないことが分かっています。では、疲れていないのに、なぜ「体が疲れた」と感じるのか?その答えは「脳の自律神経の中

  枢」にありました。人は、運動を始めると、数秒後には心拍数が上がり、呼吸が速く大きくなります。また、体温の上昇を抑えるために発汗します。

  それを秒単位で制御しているのが「脳の自律神経の中枢」と呼ばれる視床下部や前帯状回なのです。運動が激しくなると、この「脳の自律神経の

  中枢」での処理が増加します。その結果、脳の細胞で活性酸素が発生し、酸化ストレスの状態に晒されることで錆びつき、本来の自律神経の機能

  が果たせなくなります。これが脳で「疲労」が生じている状態、つまり「脳疲労」です。そして、人は、その時に「体が疲れた」というシグナルを眼窩(がんか)

  前頭野に送り、「疲労感」として自覚するのです。世界的に見て疲労の研究の歴史は浅く、日本で研究がスタートしたのは1990年代です。1984年

  アメリカで「慢性疲労症候群」の患者が発見されたのを機に、日本では1991年、この病態の対策として研究がスタートしました。1999年研究班が

  「疲労及び疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する」を発足し、2003年「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」が立ち上がりました。

  日本は疲労大国であるがゆえに、その分野の研究は今や世界でトップクラスの水準となっています。「抗疲労プロジェクト」の研究テーマでもある

  「疲労の定量化」方法の確立は、抗疲労医薬や食品、そして具体的あ疲労回復法を開発する上で不可欠な技術です。定量化とは、事象を数量、

  数値で表すことを言います。つまり、「疲労の度合いを客観的な数値で表し、疲労を科学的に解明すること」を指します。疲労やストレスが生活習慣

  病などの疾病にどう影響するかの研究は広く多くなされているが、疲労そのものは個人の主訴という主観的な側面で診断せざるを得ない状況が長く

  続きました。例えば、生活習慣病の場合は血糖値や血圧、コレステロールの数値がその程度を客観的に示します。疲労においてもそのように、蓄積

  度や程度を測定するバイオマーカーを開発し、疲労を定量化する方法を確立することができないのだろうか。それが出来れば、日本人の過重労働

  や過労死を防ぎ、健康を維持することで、社会的経済的損失や医療費の抑制に貢献することが可能になるのではないかを目標に進められている。

  本文に入る前に、脳疲労が溜まっているかどうかを簡単にチェックするリストを用意しました。次の10項目に思い当たるかどうか確認して下さい。

   物事はきりのいいところでやらないと気が済まない            ストレス解消のために体を動かすのが習慣である

   責任感があり、遅くまで残業しても苦にならない              集中力が高く、何かに没頭すると周りが見えなくなる 
  
   疲れたら栄養ドリンクをよく飲む                        屋外ですごす時間が長い
 
   長時間のドライブでも途中休憩をあまりとらない                熱めのお風呂に長湯するのが好きである 

   日中に眠気があり、大きないびきをかくと言われる             休日は遠くのテーマパークやアウトレットに足を延ばす

  以上の10項目のうち、一つでも思い当たる事があれば、脳疲労が蓄積している可能性があります。