健康常識100のウソ

  ◇「健康常識」は科学の視点で見極める

「分子生物学」から始まった「分子栄養学」 諸悪の根源は栄養不足にあり
高タンパクで良くなったケロイド 科学に基ずいた食習慣で健康寿命を延ばそう
驚くべき人体の「合目的性」 あとがき

  ●「分子生物学」から始まった「分子栄養学」

  少々大げさな表現もあったが、何より大切なのは、何も考えずに健康常識を鵜呑みにしてはいけないということだ。科学的根拠もないままに多くの健康常識が定着して

  いる事実に、憂いを感じる。この健康管理は分子生物学に基ずいている事は最初に述べた。人間の体を「DNAの設計図によって作られる物質分子の集合体である」と

  捉える分子生物学によって、導かれて成立した分子栄養学である。分子生物学は生体の活動が1から10までDNAの指令によることを明らかにした。つまり、DNAは

  生体の設計図だから、分子栄養学はその暗号の解読から始めなければならない。こういう視点で栄養を考えた場合、私たちに特に必要な栄養素として、蛋白質、

  ビタミン、ミネラルが上ってきた。これら3つの栄養素は脳にも手足にも共通するものであることを忘れてはいけない。

  ●高タンパクで良くなったケロイド

  分子栄養学を説明するのに、分りやすい事例があるので、ここで述べたい。全身に火傷を負った女性の件で夫が火傷から14年後に医院を訪れ、曰く、

  全身のケロイドの隙間には、わずかながら正常な皮膚も残っているという、しかし、夏になるとその部分から汗が出て、それが痒くて堪らず、血が出る

  までかきむしってしまうというのだ。そこで、普通の医者がいうことは正反対の意見を述べた。ケロイドができていても、わずかながら正常な皮膚がある。

  恐らくは皮膚の遺伝子そのものは壊れていないはずだ。だとしたら、必要な材料を与えてあげれば正常な皮膚は作れるはずだと仮定した。分子

  栄養学の立場から考えると、彼女のケロイドは良くなるはずだと考えた。DNAは人体の設計図だと述べた。この設計図とは、蛋白質の構造を暗号化

  したものだ。この設計図さえ壊れていなければ、与えられた栄養という材料が、DNAの指示通りに正常な皮膚を作り上げるはずだ。そのための必要な

  材料は皮膚の素材となる良質な蛋白と蛋白質を作る上でアシスタント的な役割をするビタミンだ。これを彼女に説明し、2ヵ月後連絡があり、少女時代

  から、指にあったペンだこが消えたという。「一生治らない」と宣告された皮膚が再生しつつある証拠に胸躍らせた、半年たった頃にはかなり回復した。

  喜んだ彼女は「この方法を広島や長崎で被爆した方々に教えてあげたら」と提言されたが、残念ながら彼女の意見を受け入れることはできなかった。

  蛋白質とビタミンによって彼女の皮膚が回復したのは、遺伝子という設計図が前提だ。放射能によって遺伝子そのものが壊れている可能性が強い

  被爆者にはこの方法は活かせない。設計図(DNA)がなければ、いくら「材料」を与えても皮膚はもとに戻らないのだ。

  ●驚くべき人体の「合目的性」

  上記のケースは「遺伝子の働きに着目した栄養が有効であることと、生体が「合目的性」を持っている事を教えてくれた。合目的とは、簡単に言えば

  病気や危険を避け、自ら健康になろうとする力のことだ。火傷によって皮膚の細胞が傷つけば、新しい皮膚が作られる。もちろん、体は全ての病気や

  怪我が放っておいても自然に治るというものではない。14年間も彼女を苦しめたケロイドは、合目的性を発揮する為の環境が整っていなかったのだ。

  自ら健康になろうとする力を後押しする材料は「蛋白質」と「ビタミン」だったのだ。人体が合目的性を発揮する為には、エネルギーや栄養が必要になる。

  ケロイドの治療に限らず、第一に求められるのは良質な蛋白質だ。それが「分子栄養学」の基本なのである。