命の値段が決まる時

  ◎医者のコスト

  駅前には病院や医院の看板が多い。地方へ行くとその傾向は強くなる。開業医の家はみな立派で大きな家に住んでいる。開業医の子弟は雨の日

  には運転手つきの車での送迎で、庶民の生活感覚からすれば、まだまだ医者は金持ちで、開業医などはすごい年収があると思われている。

  しかし、私立医大の学生の駐車場は、昔は外車がずらりと並んでいたが、今は実に地味な雰囲気だ。開業医の数はまだ増え続け、平均の年収は

  明らかに減ってきている。それでも医者へのあこがれは強い。社会的地位と安定した収入というのが職業としても魅力であろうし、結婚相手として

  医者を求める潜在的な声は相変わらずである。医者の立場はますます経済的にも社会的にも厳しくなってきているにも関わらず、結婚相手に医者を

  求めているのは、幻想を追っているのか、まだ「割にあう職業」なのだろうか。開業医が稼ぎ出した金は、子供が私立医大に入学すれば、入学金や寄付金

  となって還元されていく。まるで医者の世襲制を守らせる為のシステムのようになっている。それで本当に社会に必要な医者を作り出せるのだろうか。

  社会的な批判を受けながらも、巨額な寄付行為は続いている。私立医大と金の関係はどうも怪しさを残している。それだけまだ医者は経済的に

  魅力のある職業なのだろうか。

私立医大は何故多額の入学金を取るのか 都内では新規開業は出来ない
女医は増えているか 勤務医のアルバイト
医学部志望は減ってきたか 研修医の悲惨な現状
医者はまだ儲かっているか 医者のアルバイト口は減ってきた
医者は高収入ではいけないのか 病院経営の実態
医者を減らす動きが出ている ここに金を使え

    ●私立医大は何故多額の入学金を取るのか

  私立医大では30年も前から。裏口入学がまかり通るといわれ、1億円を積んで入学したなどと噂されていた。特に昭和45年前後に作られた、いわゆる新設医科大学は、

  その頃税法上も優遇されていた開業医の子弟が医者になり始めた時期と一致していた為に、多額の寄付金や裏金を集めることが出来た。社会的な非難を浴びても

  高額な寄付金などを取らねばならないほど、医者を作ることに金がかかるのであろうか。入学金の高い理由は、実習の為に金がかかり、また設備投資もある。更に、

  医学部の定員は100人前後であるから、他の学部の様に大量の学生から授業料を取るわけにもいかない。大学病院の経営は殆ど赤字であるから、その補填に授業料

  が使われている可能性がある。しかし、私立医大とはいえ、多額の助成金が国から来るわけで、全て自前の資金で運営されているのではない。医者を作りだすのは、

  個人の金も必要だが、国からの金、つまり税金で作りだされていると言ってもいいだろう。だからこそ、私立医大の経営状態や資金の動きをガラス張りにして、どれほど

  金がかかり大変なのか明らかにすべきであろう。最早新設医大が出来た頃のように、1開業医から興し、医大まで作るという個人の夢を果たす時代ではない。

  新設私立医大の不正入試は、もちろん文部省も分かっていた、国の金を出来るだけ使わずに、私的な金で大学を作らせたと見るべきなのかもしれない。しかし、その

  寄付金や裏金は、医者が健康保険の診療から得た金、つまり国民の金であることには変わりがないのだ。いずれにしても、新設医大の影の部分は時間の闇の中に

  葬られてしまった。新設医大という言葉すらも最早死語である。今は入学金は表に出され、高額のままである。私立大学医学部の経営状態はどこも良くない。しかし、

  その補填の為に、高額な入学金というのは、やはり不公平と言われても仕方のないところである。病院経営そのもの質を変え、医療の仕組みを変えない限り、このまま

  入学金や寄付金に頼らざるを得ない体質は変わりようがない。