ウソだらけの医学常識

  ▲コレステロールは、本来”健康の味方”である

  中年を過ぎた人が健康診断や人間ドックの時に1番気にするのは、恐らくコレステロール値だろう。成人病といえば多くの人がコレステロールを連想する

  ぐらい。この物質は世間から目の敵にされている。だが、何故コレステロール値が成人病に結びつくのかを、正しく理解している人がどれだけいるだろか。

  それをきちんと説明してくれる医者は皆無に等しい。その為、殆どの人は、ただ「コレステロール値が高いと成人病になりやすい」としか言わない医者の

  言葉を真に受けて、「食事制限をしなさい」とか「コレステロール降下剤を飲んでください」という指示に素直に従ってるに過ぎない。ここに製薬会社がつけ込み

  コレステロール対策を謳い文句にした健康食品のコマーシャルをどんどん流す。そこで、日本人は挙げてコレステロールのことを、成人病の病原体である

  かのように信じてしまう。しかし、もちろんコレステロールは病原体のようなものではないし、それが直接、成人病を引き起こすわけでもない。それどころか、

  コレステロールは体にとって必要不可欠な物質なのである。これがなければ、私達は健康な肉体を維持することができないのである。人間を含め

  あらゆる生物は小さな細胞が集まってできている。例えば、皮膚の細胞は約4週間で代謝回転するように、細胞は常に新しいものに作り替えられて

  いるから、その材料になるのものを何時も用意しておかねばならない。それを私達は食べ物から摂取したり、体内で作り出したりしているのである。

  脂質の一種であるコレステロールも、細胞を作る時に必要な材料の1つである。全ての細胞は細胞膜に包まれている。その細胞膜を作る成分として、

  コレステロールは極めて重要な存在なのである。この材料が不足していると、新しい細胞を正しく作ることが出来なくなってしまう。コレステロール不足が 

  癌を招きやすいと言われるのもその為で、細胞膜が弱いと、その部分が癌化しやすいわけである。また、皮膚にあるコレステロールは紫外線を浴びると

  ビタミンDの前躯体になる。ビタミンDは、特にカルシウムの吸収に必要とされる物質である。従って、コレステロールが少ない人はビタミンDが不足し、

  その結果、カルシウムの吸収が不十分になって骨が弱くなってしまう恐れがある。更に言えば、女性ホルモンや男性ホルモン、ストレスを受けた時に

  副腎皮質から分泌される抗ストレスホルモンなども、コレステロールがなければ作ることが出来ないのである。それだけ重要な役割を担っている物質

  だから、コレステロールは体内でも作られている。肝臓で作り出しているコレステロールの量は、私達が食品から摂取する量の数倍になるだろう。

  こんなに大切な物質が、単に「成人病の原因」としか思われていないとしたら、全く困ったことだ。患者にそういう偏った情報しか与えない医者は、

  無責任としか言いようがない。

  ▲コレステロールを善玉と悪玉に分けることの危険性

  コレステロールは、肝臓でリポタンパクという蛋白質に包まれる。宅配便のパッケージみたいなもので、梱包された状態で血液の中を流れて、必要な所に

  届けられる。このリポタンパクというパッケージには、いくつか種類がある。その中でもしばしば問題にされるのが、俗に「善玉コレステロール」と呼ばれる

  HDLと、「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLである。つまり、この「善玉」と「悪玉」は正確に言えばコレステロールそのものではなく、コレステロールを

  梱包したパッケージのことなのである。この時点ですでに、コレステロールに関する一般の情報には不正確な部分がある。LDLが肝臓から発送されて

  コレステロールを必要とする組織へ運ぶのに対し、HDLは例えば、血管壁などで余ったコレステロールがあると、それを元の肝臓へ持って帰る役割を

  担っている。往路のLDLにはコレステロールが多いが、復路のHDLには少なく、代わりにレシチンが多い。HDLは回収したコレステロールをLDLに戻す

  こともやってのけている。そもそも血中コレステロールを目の敵にするのは、動脈硬化や心臓病などの促進因子という考え方からだが、LDLに対して

  HDLの割合が多ければ問題は生じにない。それがHDLを善玉と呼ぶ所以なのだが、LDLもHDLも、それぞれ任務を果たす為に存在してることを忘れては

  いけない。必要とされるから、わざわざ梱包して丁寧に運んでいるのである。