ウソだらけの医学常識

  ▲リンゴの生産地で高血圧が少ない理由

  食塩原因説の有力な根拠として引用されたのが、日本の東北地方で高血圧が多いという調査結果だった。食塩の摂取量は1日、10g以下が望ましいと

  いうことだが、東北地方のその県では、1人当りの食塩摂取量がそれよりもかなり多い。そこで、食塩が高血圧を起こす犯人にされてしまったわけである。

  疫学の世界では、証拠不十分なまま有罪判決を下してしまうことが少なくない。その為、「食塩有害説」だけに留まらず、冤罪事件が後を絶たないのである。

  食塩の平均摂取量が多い地域で高血圧が多いという統計があれば、とりあえず食塩と高血圧を結びつける仮説は成立するだろう。だがそれだけで

  結論を出すのはあまりに性急過ぎる。個別に調べて見ると、食塩の摂取量が少ないのに血圧が高い人もいれば、多いのに血圧が低い人もいたという。

  一人一人の個体差から目をらしがちになるのも、疫学の抱える問題点の1つである。また、同じ東北地方でもリンゴの生産地では高血圧が少なかった。

  こうした事実は、いずれも研究者にとって都合が悪いために、例外として切り捨てられたのである。リンゴを沢山食べている人が高血圧になりにくいことは、

  栄養学的に裏付けられている。血圧を平常に保つ為には、食塩により摂取されるナトリウムと、カリウムというミネラルの比率が重要である。健康な体内に

  あるナトリウムのカリウムに対する比率は0.6である。よって食物から摂取されるナトリウムとカリウムの比も、ほぼこの数値に近いことが望ましい。

  カリウムはリンゴ、メロン、スイカ、バナナといった果物や野菜などに多く含まれている。食塩を平均より多く摂取するといわれる地域でも、リンゴを日常的に

  良く食べる地域では高血圧が少なかったのは、これで説明がつく。従って、高血圧の1つの原因は、食塩の過剰摂取ではなく、カリウムの不足と言った

  ほうが正しいわけである。ナトリウムやカリウムは過剰に摂取されても、通常は適切な量だけ吸収されて、過剰分は速やかに腎臓から尿へ捨てられる

  仕組みになっている。しかし、この排出能力が低い人の場合、体液の濃度が高くなってしまうのである。

  ▲高血圧には、まず良質の蛋白質が不可欠 

  血圧とは血流が動脈壁に及ぼす圧力のことで、動脈が収縮して内径が狭くなれば、血圧は高くなり、収縮を続けると高血圧になる。日本人の高血圧症の

  9割以上を占める「本態性高血圧」の原因はこれである。このような場合、血圧のコントロールにはカルシウムとマグネシウムの摂取比も大切である。

  動脈の収縮にカルシウム、弛緩しかんにマグネシウムが関わっているからである。マグネシウムは、ナトリウムやカルシウムを細胞の外へ出したり、

  縮んだ筋肉を緩める働きがあり、高血圧や不整脈を予防することがわかっている。マグネシウムはカルシウムの1/2以上を毎日摂ることが望ましい。

  因みに、カルシウムはご存知の通り牛乳や小魚、海藻などに、マグネシウムは海藻、日本そば、ゴマや

  豆類、ココアなどに豊富に含まれている。更に高血圧は血管の弾力性の問題もからんでいるから、血管を

  作る材料として良質蛋白質をきちんと摂取しなければならない。事実、遺伝的に必ず高血圧になるはずの

  ネズミに、良質蛋白質、カルシウム、マグネシム、カリウムを大量に摂取させたところ、寿命を全うするまで

  高血圧にならなかったという実験結果もある。こうした研究成果に、何故か医者は目を向けようとしない。

  いつまでたっても、「塩分を控えなさい」の一転張りだ。ナトリウムは体液の量を調節し、体の構成単位である

  細胞の形を維持する。また、栄養の吸収や腎臓で尿を作る仕事にも欠かせない。特に、ナトリウムが不足する

  と体の機能を統合して調整する神経系がダメージを受ける。極端な場合、食塩の静脈注射によって血圧が

  下がったという報告もあるぐらいなのである。従って、血圧を下げたかったら塩分の摂り過ぎを気にする

  必要はない。余剰分は腎臓から排出できる栄養条件を整えてやれば良い。その為には、何よりもまず

  蛋白質を十分に摂取すること。更にマグネシウムやカリウムを摂ってもらいたい。魚の脂肪に含まれている

  EPA(エイコサペンタエン酸)も、効果があるようだ。血圧の微調整を行うプロスグランディンという物資を

  体内で作る際に、エイコサペンタエン酸が原料になるからである。この物質は、特にイワシやサバといった

  背の青い魚、或いはマグロのトロなどに多く含まれている。高血圧に限らず、良質の蛋白は様々な病気の予防に欠かせない。

  また、摂取した蛋白質を有効に使う為にはビタミンも大量に必要になる。こういった栄養に関する知識が、今の医者には決定的に欠けているのである。